痛かった! 椎間関節ガングリオン摘出手術

水口 勝(江別市)

 99年は小生にとって厄年とも言える最悪の年であった。春に脳卒中を患い何とか回復してやれやれと思って半年もしないうちに、今度は腰の手術、何ともついていない。
 5、6年位前に庭の掃除をしていてギックリ腰、それ以降どうも腰の調子がよろしくなかったのだが、ここ2、3年はちょっと歩くと両足が大腿部から、そのうちに尻ぺったまでしびれて歩けなくなってしまう。しかしその場で腰を曲げて屈伸運動をすると、スーとしびれが治まる。お医者さんの診断は脊柱間狭窄症だという。まず歩いて運動すること、それに体重を落すことと指導される。これには納得、とにかく縦への成長はとっくの昔に終わってしまったが横への成長はいまだに止まるところを知らないからである。正しく表現すると達磨さん状態である。11月に入ると今度は今までの症状に加えちょっと腰を曲げただけでビリっと激痛が走るようになった。痛みの尺度ってあるのかどうか分からないので表現のしようがないがとにかく痛い。布団の中で寝返りも打てないし、起き上がるのも一苦労。
 我慢も限界、新札幌の総合病院へ。シャーカステンのX線写真を見ながら"ここに腫瘤、ガングリオンがあるのでこれが神経に触り悪さをしている"と赤鉛筆で丸をつけて説明を受けるが、ど素人の悲しさ何が何だか全然わからない。これはそんなに難しい手術ではないと摘出手術を勧められる。脳卒中では手術を免れやれやれと思っていたのに今度は手術、しかし背に腹は替えられない覚悟する。
 11月25日入院。担当看護婦から入院診療計画書を示され懇切丁寧な説明を受ける。手術予定日は7日、2週間も先だと言う。その間何をするのだろうと思っていたら、これまた大変、検査、検査の連続、CT、MRI,ルートブロックetc.、なかでも造影剤検査はなんとも苦しい。レントゲン技師と連絡を取り透視画像を見ながら関節内に造影剤を注入しているのだが、麻酔をしているのか痛くはないが目的の場所になかなか入らない。普通の人だと一発で入るそうだがさもありなん、とにかく立派な肉厚体格、先生の苦労も分かるような気がする。
 いよいよ手術前日、まず麻酔科の先生の説明をうける。安心感を与えるような丁寧な説明だがリスクもゼロではないとの事。つぎに術場担当の看護婦がベッドサイドで、明日の一連の行動について印刷物を示しながら説明してくれる。眠っているうちに手術は終わるのでなにも心配することはないと説明されても生まれて初めての手術、不安感はいかんともしがたい。それを察してか今晩は安定剤を投与すると言う。睡眠薬も入っていたのか朝までぐっすり。寝ぼけ眼のうちに注射を打たれたような気がするがよく覚えていない。つぎに医師が来て手術部位に印を付けるので横を向けと言い腰のあたりでなにかコツコツやっている、しばらくしてはい終わりましたと帰ってびっくり。病衣が血で真っ赤に染まっている。
 いよいよ手術、女房、息子それに女房の母親らに見送られながらベッドのまま手術室へ。前室からベルトコンベアに乗せられ術場に入り、麻酔の先生が"これから麻酔に入ります"といったのはまでは覚えているが、覚えているのはそこまでで後は全然わからない、気がついたら女房達が側にいる。朦朧としていたが主治医が来て"手術は無事終わりましたよ、これが採ったものです"と小さな瓶に入った白っぽい物を見せてくれた。
 翌朝5時半頃目が覚める。傷は痛くはないがなんだか変な感じ、動いたら傷口がぱっくり開くようでしかたない。背中からは内出血を取り除くための細いカテーテルがのび、その先端に布製のカバーで覆った小さなポリタンクがついていて血が溜まっている。昔から自分の血を見ただけで気分が悪くなるのに目の前にある。ゾッとする。
 たばこが吸いたい。どうにも我慢ができない、意を決して喫煙室まで行くことにする。幸いすぐ側に歩行器がある、そろりそろりと体を動かすがさすがに傷口は痛む、しかしたばこの魅力が先に立つ。とにかく歩行器にぶらさがり喫煙室へ、美味い!
 傷が気になって仰向けに寝ることができないので横を向いて寝ていたら"理論的には仰向けに寝ても大丈夫だ"と回診の医師は言ってくれるがやっぱり気になる。
 抜糸するまで風呂はだめだという、そのかわり看護婦が毎日温かいタオルで体を拭いてくれる。ここの看護婦は皆若い、また若くなければ勤まらないのかもしれない。見ていたら実に激務である。検温、注射、患者の搬送は当然のことだが患者の清拭にはじまり食事の世話、入浴の付き添い下の世話と挙げたらきりがない。それがまた、いつも明るく嫌な顔ひとつしない。感心すると同時にじつによく教育が行き届いていると思う。
 抜糸、術後1週間ぐらいとのことだったが10日目に抜糸、痛いだろうと覚悟していたら、背中で何かパチパチと音がしているだけで全然痛くない、拍子抜けした感じである。
 術後1週間目ぐらいから歩行器なしで歩く、かっての痛みは嘘のように消え、上を向いて思いっきり嗽も出来る、思いっきりくしゃみも出来る、無性にうれしい。
 12月23日無事退院。
 入院中の食事は1,800キロカロリーだと言う、退院時にはかなり体重が減っているだろうと大いに期待したが、今までに蓄えたエネルギーはいくら消費しても有り余るほど有ったと見え退院時には、わずかに1kg強しか減っていなかった。最近は努力の成果か上昇傾向には歯止めがかかったが、高値安定状態はいつまで続くことやら。