耳鼻咽喉科

風邪と副鼻腔炎
おおさか耳鼻咽喉科クリニック
院長 大坂 雅明

 北海道も冬を迎え、風邪が流行する時期となりました。
 症状としては、まず、のどが痛くなり水っぽい鼻水が出て、そして発熱や咳が出現するといったところでしょうか。
 さて、水っぽい鼻水がやがて黄緑色の膿性のネバネバした鼻水に変わっていくことはよく経験します。実は、この時点において少なからず細菌が関与しています。
 風邪の原因は、ほとんどがウイルスです。したがって細菌を退治する抗生物質は全く効きません。しかし、ウイルスによって破壊された粘膜は、容易に細菌感染の場所となりやすいのです。黄緑色の鼻水には細菌自身の他に、細菌を貪食した白血球の死骸や鼻粘膜からの分泌物などが含まれています。
 自分自身の抵抗力が強く、血液中の白血球やリンパ球が細菌を全滅させると自然に黄緑色の鼻水は止まりますが、一週間たっても続く場合は明らかに異常です。この場合、両頬の下にある上顎洞という副鼻腔の粘膜に持続的な細菌感染が続いていることが多いのです。細菌を殺すためには、それに有効な抗生物質を使用しなくてはなりません。
 さて、「風邪はウイルスが原因なので、抗生物質は効かない。したがって抗生物質を処方する必要がない。」と主張する先生方がおられますが、私はこの意見には全面的に賛成できません。
 細菌の二次感染を防ぐという意味からも、抗生物質を投与した方が良いと考えます。そのほうが副鼻腔炎や中耳炎を未然に予防していると思うからです。
 何故かと言うと副鼻腔炎や中耳炎は、ほとんどが風邪が引き金になっており、それがこじれた結果から生じているのです。ただ最近、抗生物質が効きにくい多剤耐性の肺炎球菌(PRSP)が増えてきて問題となっています。
 特に小児に多い傾向があり、鼻水や耳だれがなかなか止まりにくくなっています。細菌感受性検査を行い、適切な抗生物質を選択する必要性がますます増大しています。
 いずれにしても、たかが風邪とあまり馬鹿にせず、それがこじれて副鼻腔炎や中耳炎になる前に、早めに医療機関を受診された方が良いでしょう。