眼科

白内障(part2 手術編(2))
美園おかだ眼科
院長 岡田 昭人

Q手術自体の危険性や合併症にはどんなことがありますか?

A(1)出血:傷口からの出血は多少なりとも必発です。白目が部分的に赤く染まることもありますが、何も支障は無く、時間が経てば元に戻ります。 眼球内で、虹彩(茶目)等から出血することもあります。頻度は少なく、特に問題無い場合がほとんどですが、視力の回復が遅れたり、極めて稀ですが大量の出血のため重篤な障害を招くこともあり得ます。
(2)緑内障:緑内障(次回のテーマとして取り上げる予定です)というのは特に原因なしにもなってしまう病気ですが、この場合は手術のせいでなってしまうものです。虹彩が炎症を起こして細胞や水が滲み出てくるため、眼球内圧が高まる状態ですが、点眼治療等で一過性に治まるのが普通です。
(3)角膜障害:角膜(黒目)が手術の際にふやけたり、皺が寄ったり、皮がむけたりすることがあります。これも多くは一過性ですが、治るまでの間痛みや視力障害が続くこともあります。また、元々角膜が脆弱だった場合など、水疱や混濁が生じてしまうことがあり、それが角膜の中心部だったりすると視力が低くなってしまう場合もあり得ます。
(4)感染症(化膿):稀ですが眼内炎と言って、創口(傷口)から病原体が眼球内に入って化膿してしまった場合、網膜がただれて失明してしまう可能性があります。手術等で救えることもありますが、起きてしまってからでは治療は難しく、何よりも予防が一番です。そのため手術後の抗菌剤(化膿止め)の点滴や内服、点眼薬の適切な使用や清潔を保つことなどが大切になります。
(5)網膜浮腫(腫れ)、網膜剥離(剥がれ):手術の際直接触れない網膜に、間接的な影響で、手術の直後やしばらく時間が経ってから障害がでることがあり得ます。場合によって手術加療が必要になったり、網膜の機能が回復せず視力が低下してしまうこともあります。

Q何か手術を受けるのが恐ろしくなってしまいますね

A不本意ながら、危険性としてあり得ることをざっと並べましたので、結果として脅すようになってしまい申し訳ありません。万が一の場合こうゆう可能性もあるんですよ、ということであって通常は発生しない事柄です。但し、可能性としてはゼロでないわけですから、視力が良好なのに早まるべきではないということも言えると思います。また、医師も滅多に無い合併症を常に念頭に置くことで、起きてしまった時に最善の対処をして、極力最悪の事態を回避するよう備えられるわけです。

Q他に手術の後起こると考えられる問題には、どんなことがありますか?

A(1)術後炎症:小さいけれども目は傷を負うわけですから、傷を守ろう、治そうという反応が自然に生じます。従って、傷口自体の痛みや異物感(ゴロゴロ、チクチク)に加えて、充血や涙目、目脂(目ヤニ)が出ますが、通常は点眼治療や時間が経つことで次第に治まって行きます。
(2)屈折変化、調節能消失:手術後の目は(眼内レンズを入れた場合でも入れない場合でも)、調節が不可能となります。つまりピント合わせができないので(元々白内障でもできなくなっていましたが)、遠くから近く(読み書き)まで全部裸眼で良く見えるというのは無理なのです。従って、その前後もある程度見えますが、どこを(裸眼で)一番良く見えるようにするか手術前に設定するわけです。遠くを良く見えるよう(遠視~正視)にすれば近くが犠牲になりますし、近くを良く見えるよう(近視)にすれば遠くが犠牲になります。手術前と状況が変わって、いずれか(時に両方)で不満が出る場合もありますが、通常は眼鏡で対応することができます。白内障が強くて、遠くも近くもひどくなってしまっていた場合、眼鏡なしで両方満足という場合もあります。
(3)後発白内障:白内障は一度手術をすれば再発することはありません。但し、手術で残した水晶体嚢という薄い皮が次第に濁ってきて、曇って見ずらくなってしまうことがあります。その状態を、また白内障がぶり返してきたように感じるので、後発白内障と呼びます。これは濁った嚢の中央部をレーザー光線でくりぬくことで、回復させることができます。

Qそういうことをふまえて、手術をする時期というのは何時が良いのですか?

Aこれは簡単に視力がいくらになったら、というような明瞭な返事はできません。その人が生活上支障をきたしたら、ということになるかと思います。例えば、運転免許を更新したいが白内障のせいで(眼鏡をかけても)0.7見えない。遠方視力はまあまあ良いのだが、老眼鏡をかけても本が読めなくなった。などなど生活スタイルにより必要性は変わってきます。また、かなり不自由しているのに手術が怖いと我慢している人も多いようですが、手術自体は痛いとか、つらいということは殆ど心配ありません(せいぜい、手術前の消毒薬や麻酔薬がしみるくらいです)。合併症の危険性はあるわけですが、実のところ白内障が強い程、手術時間は長くかかり、合併症の危険率は高くなるのです。そういう意味でも、またその後良く見える時間が長くなるという意味でもあまり我慢しないで、ほどほどの時期に受けられることお勧めします。但し、御本人が希望しても目あるいは全身的に他の病気がある、合併症が起きやすそうな目だ、というような問題があり(視力の改善の見込みが少なく、危険性が高いため)、手術は見合わせるべきだと医師が判断する場合もあります。きちんと診察を受けて状態を把握してもらい、自覚的な症状(不自由さの程度、変化)を伝えていって、自然に『そろそろしましょう』と決まるのが理想的でしょう。