眼科

白内障(part2 手術編(1))
美園おかだ眼科
院長 岡田 昭人

眼瞼・眼球の断面図

Qどういう手術をするのですか?

A水晶体は透明な薄い皮(水晶体嚢と呼びます)の中に、中身が詰まっている構造です。白内障では中身が濁っており、これを除去することが必要です。具体的には、黒目(角膜)と白目(強膜)の境目辺りにメスを入れて、眼内に通じる創口(傷口)を作ります。そして、水晶体嚢の前面を丸く切り取って、開窓します。次いで、先端が振動する特殊なストロー状の道具で、砕いたり割ったりしながら濁った中身を吸い取ります。

Q砕いたり割ったり?

Aそうです。水晶体の中身は、子供の頃は寒天の様に柔らかいのですが、加齢とともに硬くなってゆきます。そして白内障が進むと、ますます硬さを増します。石のように硬くはないですが、ストローでチューチュー吸うというよりは、彫りながら破片を吸っていくというイメージです。あまりに硬い白内障など吸い取るのが無理な場合には、創口を大きく開いて中身を一塊に摘出することもあります。

Q濁った中身を除去すると視力が回復するんですか?

Aいいえ、光の透過が良くなって明るくはなりますが、まだ十分ではないのです。中身の無くなった水晶体嚢は、もはやピントを合わせるレンズとしては役立ちません。そこで、通常は人口の水晶体(眼内レンズ)でその代用をさせます。(但し、強度の近視の場合、水晶体無しでまあまあな度となり、眼内レンズが不必要となる人もいます。)

Q眼内レンズはどこに入れるのですか?

A空っぽになった水晶体嚢の中に納めるのが普通です。しかし、弱い水晶体嚢の場合、手術中に裂け目が入ってしまったり、穴が開いてしまうことがあります。そういう状況で眼内レンズを無理して入れると、そこから眼球の奥へと落ちてしまう危険があります。その場合、茶目(虹彩)と水晶体嚢前面の間に挟んで納めるか、裂け目や穴が大きくて危険性が高ければ、眼球壁に眼内レンズを縫い付けて固定(縫着)することになります。縫着に関しては、手術時間が長くかかる、縫着専用レンズを用意した方が良い、などの理由で後日再手術で行うこともあります。

Q眼内レンズも入って、いよいよバッチリ見えるわけですね?

Aうーん、難しい質問ですね。患者さんは勿論のこと、我々医師もそれを期待して手術しているわけですし、実際多くの場合良好な視力が得られます。しかし、視力というのは眼球、視神経、脳という視覚伝導路全体で決まるものです。白内障の邪魔は手術で取り除けますが、逆に言えば、それ以外の障害を治すことではないわけです。例えば乱視、角膜の濁り、神経の病気、などといったものがあれば、その分の視力低下は存続します。また、白内障以外の異常が無くて視力が良く回復した場合でも、患者さんは不満あり、という状況になることもあります。また稀ですが、重篤な合併症が生じて、視力が低下してしまうということもあり得ます。次回は、そういった手術の問題点についてお話ししたいと思います。

手術の手順
側面より見た図
(水晶体のみ表示)
側面より見た図
 水晶体嚢前面を丸く切り取る
 水晶体嚢前面を丸く切り取る
 濁った中身を砕いたり割ったりして吸い取る
濁った中身を砕いたり割ったりして吸い取る
 眼内レンズを挿入
眼内レンズを挿入

手術をし易くするため瞳孔を広げておきますが、時間がたつと元に戻ります