歯 科

漱石の歯痛
歯学博士
飯田 一実

 夏目漱石の作品で「坊っちゃん」や「吾輩は猫である」は有名ですが、漱石の3部作と云われるものに「三四郎」「それから」「門」があります。その中の「門」の文中に主人公の宗助が歯科医院に歯の治療に行った時の描写があります。「門」の素材となった漱石の日記には、明治42年6月3日(木)急に歯痛起こる。歯医者へ行く。6月5日(土)歯医者へ行く。6月6日(日)歯医者へ行く。神経をとる。とあり、歯科医院での文章はこの日記の経験を元に書かれたようです。
 最近は土曜日の午後も日曜日にも診療をする医院が出て来ていますが、当時も休日に診療をしていた医院の有ったことが伺へます。
 治療の場面では、宗助の痛いと云う歯の根へ穴を開け、其の中へ細長い針の様なものを刺し通して、糸程な筋を引き出して、神経が是丈取れましたと云い、薬で其の穴を埋めて明日又いらっしゃいと注意を与へた。とあります。小説の中に歯科医院での場面が、これほど具体的に書かれているのは大変珍しいと思います。
 4月18日(よい歯の日)6月4日(歯の衛生週間10日迄)11月8日(いい歯の日)にちなみ、日頃のデンタルケアを大切にしましょう。