歯 科

最近の充填剤について
歯学博士
飯田 一実

 昨年12月「環境ホルモン学会」での1つの発表に関して、センセーショナルな見出しと言い回しの新聞記事が有りました。しかしこれは実験者の意図していたこととは大きな違いがあったようです。
 むし歯であいた穴や歯頚部の契状欠損部の歯質には自然治癒が無く、欠損部は人工材料で充填します。最近ではその為にコンポジットレジンを使用することが多く、これは歯質を削る量を出来るだけ少なくして歯質に似た色をしているので審美的にも優れた材料です。
 国民が保険ででも受けることが出来る良質な歯科治療の為に大切なものと思われます。
 コンポジットレジンには紫外線吸収剤(HMBP)が添加されていますが、これはレジンが変色して黄色くなることを防ぐためのものです。他の分野では日焼け止めクリームの成分としても使用されているようです。
 今回の実験ではコンポジットレジンの試料から最高で0.8μgのHMBPの溶出が測定されましたがこの量は人に害を及ぼす量の1億分の1の量です。これは人体への悪影響という点では無視されると考えられます。
 ネズミの細胞を用いた実験ではHMBPの溶出は女性ホルモン様活性の発現につながりますが、これは内分泌撹乱作用のないより安全な材料を作るための参考と成ることを願っていることであり、現在使用されているコンポジットレジンを使用することには危険性は無く合理的なものです。