歯 科

震災時の体力維持に義歯が必要
歯学博士
飯田 一実

 札幌市は地震や風水害が比較的少ない都市ですが、天災はいつやってくるか解りません。
 平成7年の阪神・淡路大震災時の悲劇はまだ私たちの記憶に新しいところです。
 震災直後は怪我等の救急医療が必要なことは当然ですが、3日目位から精神的ケアを必要とする人もいて、またメガネ・補聴器・義歯を失って不便を感じる人も出てきます。
 震災直後の緊張感が去り、疲労がたまってくると精神的ストレスも加わって口内炎や歯の痛みが出ます。
 義歯を失った人や歯の弱い人はパンはなんとか食べられても、冷たく硬い弁当やおにぎりは食べられません。お湯も無く水にうるかしてようやく食べる人も居るようです。
 生きることは食べることであり、救援物資も食べられなければ生きられません。阪神大震災時食事をする時困ったことは「硬くて噛めなかった」が27.3%、救援物資で食べ難かったものは「冷たいおにぎり・ごはん」が22.8%で一番多かったとの報告があります。大混乱の時にあたたかいおにぎりやごはんを望むのは無理な様です。
 義歯を失った被災者が食事が出来なくて体力が衰えた例が多く見られます。今迄杖が必要であった方が義歯が装着されると杖なしでも歩けるように成り、顔つきもしっかりとし体力も回復し、生きる力が出てくるようです。食べ物を「噛む」のと「丸飲み」するのとでは大違いで噛むことの大切さ、食べる喜びが実感されます。
 救急医療も一段落した頃歯科医療救護班は、原則として市の設置する医療救護所及び保健センターに設置される救護所で歯科医療救護活動を行うことに成っています。
 仮の義歯の作製やその他口腔内の治療が受けられますので、地域の歯科医院が立ち直る迄は是非利用して体力をつけて欲しいものです。
 あくまでも仮の入れ歯ですので、後日落ち着いたら改めて「かかりつけの歯科医院」で作り直して下さい。