歯 科

全身の病気と口腔内の細菌群
歯学博士
飯田 一実

 歯科における2大疾患であるむし歯と歯周病は、口腔内の細菌群によって引き起こされる感染症です。
 この細菌の一部は、体の他の所に移行すると病気の原因となることがあります。特に歯周病の原因となる細菌が、全身の病気と関係していることが知られてきました。
 口腔細菌が血液で運ばれて他の臓器に移行する場合と、嚥下障害によって気管や肺に運ばれるのが代表的な経路です。
 血液の中に細菌が入り、菌血症を起こすとまず心臓に到達します。心臓の内膜で増殖すると心内膜炎の原因となります。健康な人では防御反応が働いて発症はしませんが、防御反応の低下している人では発症の危険が増します。
 動脈硬化症の原因はタバコ・高脂血症・高血圧・その他の遺伝素因などが考えられますが、歯周病原菌が動脈硬化症に関係している可能性もあります。さらに、心筋梗塞と歯周炎とは関連があるとの報告もあります。
 健康な人では呼吸器に入った口腔細菌で肺炎を起こすことはありませんが、高齢者では、細菌が増殖し誤嚥性肺炎を起こす可能性が大きくなります。口腔内を清潔にすることによって細菌数、口臭、発熱が明らかに低下しています。
 糖尿病と歯科疾患、特に歯周病とは大きな関係があることも知られてきました。むし歯や歯周病を防ぐことは、全身の健康のためにも必要なことです。