歯 科

歯頚部の楔状欠損について
歯学博士
飯田 一実

 冷たい水が歯にしみる季節になりました。特に歯と歯肉との境目にできる歯頚部のくさび状欠損がある場合には、その部分が知覚過敏を起こしていて、歯ブラシの毛先が当たったり、冷たい水を飲んだりすると非常にしみます。
 くさび状欠損は歯ブラシの不正使用、即ち過度の横磨きで作られるという報告がされて以来、くさび状欠損の発症は歯ブラシ説が長い間受け入れられてきました。しかし、口の中で歯ブラシの影響を受けない所や、歯ブラシを使用する習慣のなかった古代人や動物の歯にもくさび状欠損があるという報告があり、くさび状欠損は歯ブラシ説だけでは説明できません。
 その後Lee等が咬合説を唱え、最近では他の研究者達も、くさび状欠損の観察結果から発症には咬合が関与していることが考えられてきています。
 咬合力によって歯頚部に引張り応力が集中し、歯質が破壊され、くさび状欠損が生じるようです。
 この部分につめ物がある場合には、歯質と修復物との間に空隙ができて脱落したり、二次的なむし歯ができたりし易くなりますので、普段から気を付けていて、異常があればすぐ治療して貰うようにしましょう。